メタバース空間で英語学習サービスを提供する会社が現れてきました。
メタバースとは、『現実世界に自分はいながらもネット上のバーチャル空間をアバターで行動する世界』です。
大人気の「集まれどうぶつの森」をイメージすると分かりやすいですね。
どう森は登場人物はすべてゲーム内で設定されたキャラクターですが、メタバース英会話ではアバターの中身は生身の人間です。
最近、AEON(イーオン)英会話、学研のKiminiオンライン英会話、fondiなどの新サービスがニュースになっています。
この中で、スタートアップが提供する『fondi』を実際に試してみました。
3年間で7社をローテーション利用しているオンライン英会話と比較すると、メタバースならではのプラスの特徴も感じています。
メタバース英会話とオンライン英会話の違いをレポートし、メタバース空間を利用した英会話サービスの展望も書きました。
記事を書いた人
- 英語学習ブログを書くことを英語学習の一部にしている会社員
- オンライン英会話やシャドーイング教材で英語学習を継続
- 学生時代にアメリカ留学6か月
※当ページの情報は執筆時点のものです。最新情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。
※リンクには広告が含まれる場合があります。
メタバース英会話とオンライン英会話の比較
メタバース英会話とオンライン英会話を6つの観点から比較します。
- 英会話練習のしやすさ
- 準備物
- サービス
- 教材
- 講師
- 料金
比較結果のまとめ
- 料金以外は特徴的な違いがある
- メタバース英会話はシーン別英会話の練習に最適。アバターなので英会話が恥ずかしくない
- 現状では、教材や講師は成熟期のオンライン英会話のほうが質が高いものを選べる
- どちらかを選択ではなくニーズに合わせてローテーション利用するのがおススメの活用法
① 英会話練習のしやすさ:メタバース英会話に強み
メタバース英会話にはゲーム性や楽しさがあります。
以下の3点がオンライン英会話にはない大きな特徴です。
メタバース英会話の特徴
- ワクワクするメタバース空間のデザイン
- アバター同士による恥ずかしさや緊張感の軽減
- 他のサービス利用者と心地よい距離感で関われる
メタバース空間はワクワクする
デザインやBGMが心地よいメタバース空間に入るとワクワクしますね。
特に利用初期は、「どこにどんな空間があるのだろう」と冒険心をかきたてられます。
どう森をやったときと同じ感覚を味わいました。
講師の顔や教材しか映らないオンライン英会話にはない魅力です。
メタバース空間の画像を含めてfondiのレビューを詳しく以下の記事に書いています。
-
【メタバース空間での英会話学習】話題のfondiをやってみた感想
メタバース空間で英語学習サービスを提供するfondiをやってみました。 「カタコト英語から始まるバーチャル海外生活」 アプリをダウンロードすると誰でも1週間無料で利用できます。 利用の流れやオンライン ...
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アバター英会話は恥ずかしくない
お互いのリアルの顔や姿が見えないアバターには恥ずかしさや緊張感を和らげる効果があります。
オンライン英会話では、講師の顔や表情の変化によりこちらが緊張して英語をアウトプットしにくくなることがありますよね。
アバターはリアルな表情が見えないので、沈黙が増えたり間に困ってもそこまで気になりません。
そして、fondiのように自由に動き回って他の利用者と英会話をするサービスなら、時間を気にせず会話を終えたいと思ったタイミングでその場を離れればいいだけです。
『1対1の狭い教室で講師と25分』とは緊張感が違います。
『間違えてもいいので英語をアウトプットする』
これを実践するのは、オンライン英会話よりメタバース空間が向いています。
メタバースは講師や他の利用者と心地よい距離感
メタバース英会話では他のサービス利用者と心地よい距離感で関わることができます。
たとえば、Kimini英会話のメタバースサービスでは、英語を題材にした連想ゲーム、〇×クイズ、なぞなぞなどを参加者全員でゲーム形式で楽しめます。(以下の画像はPR Times記事より引用)
アバター同士ですし、オンライン英会話のグループレッスンより気楽でかつ自由な距離感で他の利用者と関われます。
② 準備物:メタバース英会話はVRゴーグルが必要な場合も
メタバース英会話 | オンライン英会話 |
PC・タブレット・スマホのブラウザ、VRゴーグルのいずれか | PC・タブレット・スマホのブラウザまたは専用アプリ |
ネット接続環境(WiFi/4G/5Gなど) | ネット接続環境(WiFi/4G/5Gなど) |
メタバース英会話とオンライン英会話で準備するものに大きな違いはありません。
ただし、サービスによりVRゴーグルが必要な場合があります。
メタバース英会話の指定デバイス
AEON VR指定の『Meta Quest2』は、128Gモデルが実勢価格6万円前後です。
③ サービス:メタバース英会話はグループ、オンライン英会話はマンツーマン
オンライン英会話の基本スタイルは「マンツーマン」です。
一方で、メタバース英会話は複数人で一緒に楽しむサービスからスタートしています。
メタバース英会話サービス内容
メタバース空間でゲームを通じてマンツーマンで学べる『メタバース英会話』も登場
ゲーミフィケーションと教育をテーマにto B/C向けに複数事業を展開するベンチャー企業が『メタバース英会話』という英会話サービスを始めました。
メタバース英会話
- サービス名:『メタバース英会話』
- 会社名:株式会社サイバーフェリックス
- URL:https://metaverse-english.com/
- サービス開始:2022年7月
- サービス概要:フォートナイトやマインクラフトなどメタバース空間でゲームをプレイしながら英語を学べる完全マンツーマン英会話サービス
- 料金:税込13,000円(60分×4回分の完全マンツーマンレッスン)
フォートナイトやマインクラフトにどっぷりはまっている子どもは多数います。
メタバース空間に集まった100人が個人やチームで島でバトルをして敵を倒すたびにアイテムをもらう。
最後の一人まで残れると特別アイテムをもらってさらにどんどん強くなる。
そんな楽しすぎるゲームが子どもの頃にあったら、毎日のゲーム時間を制限されていたとしても親が外出している時間などコソコソずっ~とやってたはずです。
親が「ゲームをやめて英語を勉強しなさい」とか言ってきても、「うーん、また今度気が向いたらね。」の繰り返しに違いありません。
でも、
って親から言われたらどうでしょう?
まず、親の変わりように耳を疑いびっくりすると思います。(笑)
そして、それが交換条件だとしてもゲームを続けられるなら『メタバース英会話』をとりあえずやってみると思います。
そうしているうちに、ゲームを通じた講師とのやりとりで気がついたら自然と英会話がかなりできるようにもなっていく・・・。
特に、ひとりっこでいつも家にこもってゲームばかりしているような子どもに体験させてみたいですよね。
ゲーム上で一緒に戦う仲間を留学生の英会話講師にすることで年の離れたお兄さん的な存在ができ、好きなことを通じて英会話力も心も豊かになってくれそうです。
画面越しにお互いの顔を見せて緊張感や人見知りをクリアするまでのハードルが高いオンライン英会話にはないメタバース英会話ならではの特徴ですね。
④ 教材:それぞれにメリットあり
メタバース英会話には空間デザイン力の強みを教材にいかせる特徴があります。
オンライン英会話は多くの会社がさまざまな教材を提供してるので種類が豊富ですね。
シーン別英会話はメタバース空間に大きな強み
英会話シーンをメタバース空間にデザインすれば、本当にその場にいるかのようなシミュレーションができます。
- ホテルの受付
- レストランでの注文
- 入国手続き
- ビジネスシーンでのプレゼンテーション
オンライン英会話では、写真や絵とテキストによるシーン説明が限界。
アバターでその場にいるかのような空間再現力は、メタバース英会話ならではの特徴です。
教材の種類や数はオンライン英会話が圧倒的に多い
今のところ、教材の種類と数はオンライン英会話が圧倒的に多いです。
メタバース英会話はサービスがスタートしたばかりの黎明期。
オンライン英会話は成熟市場で多くの会社がさまざまな教材を提供しているので選択肢が広いです。
オンライン英会話の代表的な教材
- 日常英会話・ビジネス英会話
- デイリーニュース
- 写真説明
- 文法
- 発音
- TOEIC対策
- 市販教材
また、Readingについては文字情報があればよいのでメタバース空間である必要はないと感じました。
テキストブックやPC・スマホで十分です。
⑤ 講師:現状はオンライン英会話が圧倒的によい
『メタバース空間はアバター、オンライン英会話はカメラ映像』
見た目の違いはあっても話す相手は両者ともリアルな人間です。
同じ人間が相手をするので、提供形式の違いによる優劣はありません。
そして、オンライン英会話の講師がメタバース英会話の講師をすることも今後どんどん増えていくはずです。
ただ、現状はオンライン英会話のサービス提供会社が多いので、講師の質を重視するならオンライン英会話です。
また、fondiでは、英会話の相手は世界中のサービス利用者であり講師ではありません。
採用試験をパスした人ではないので「英会話を教える」観点ではオンライン英会話が優れています。
⑥ 料金:大差なし
AEON英会話はメタバース英会話とオンライン英会話を別々のプランで提供しているため料金比較しました。(価格はすべて税込)
Kimini英会話は既存のオンライン英会話利用者向けに無料で非定期開催のメタバース英会話サービスを追加しています。
メタバース英会話 |
オンライン英会話 |
||
AEON VR (40分×6回) | 17,620円 | AEON英会話(25分×4回) | 月6800円~ |
Kimini英会話 | (オンライン英会話プランで無料利用可) | Kimini英会話(スタンダードプラン) | 月5,480円 |
fondi (利用無制限) | 月1,950円 | ー |
AEONのメタバース英会話プランとオンライン英会話プランを25分単金で比較すると大差はありません。
- AEON VR:1分あたり73円(17,620円 ÷ 240分)
- AEONオンライン英会話:1分あたり68円(6,800円 ÷ 100分)
また、fondiは月1950円と一般的なオンライン英会話に比べると格安ですが、この料金には英会話のレッスン料は含まれていません。
メタバース空間で英語仕事をする未来も近い!
『メタバース空間が実際に英語を使う仕事の場』
そんな未来はきっと近いです。
歴史を振り返ると、手ごろな価格で英会話の練習ができるオンライン英会話を2013年にレアジョブがスタートさせました。
そのころは、対面や電話での英会話がうまくなることを目的として、オンライン英会話がその練習場。
しかし、コロナの影響やITの発展もあり、今ではオンラインで仕事ミーティングをするのが当たり前になりました。
オンライン英会話がそのまま仕事に生かせる状況に変わっているのです。
実際、私の仕事でも外国人との打ち合わせはTeamsやZoomミーティングがほとんど。
コロナが治まってもこの流れはもう戻らないですね。
AppleのVRデバイス登場がメタバース英会話の起爆剤に?
AppleがVision Proを発表しました。
日本で発売されたら(2024年以降との噂)、Appleの製品だけにメディアやネットが大注目して取り上げるはずです。
そして、iPhoneやiPadのように普及していけば、高精細の360度ビューの中で様々な英会話シーンを再現するサービスが拡大していくでしょう。
現実の場にいるのと変わらないメタバース空間のなかで、アバター英会話講師を相手に実践英会話トレーニングができます。
同時に、AR/VR空間でリモートワークをする企業や仕事のスタイルも”普通”に変わっていきそうです。
英会話を実践する本番がメタバース空間。
そんな日もそう遠くないと思います。
そう考えると、形態により以下のような展望の違いはあれど、今後数年間、対面・オンライン・メタバース3つの英会話学習サービスが混在していくのではないでしょうか。
英語学習サービスの展望
- 対面式:縮小
- オンライン:維持
- メタバース:拡大
しばらくはオンライン英会話とメタバース英会話をローテーション
既に見たように、メタバース英会話とオンライン英会話には得意とする部分に違いがあります。
メタバース英会話が増えていけば、どちらかをひとつを選ぶというより月単位でオンライン英会話とメターバース英会話をローテーションする使い方が模索できます。
- オンライン英会話の充実した教材とマンツーマン講師で英語力を強化
- メタバース英会話のVRシーンで実践練習
- 課題を感じたらオンライン英会話で再度学習強化
しばらくは、そんな”使い分け”が広がりそうです。