英語を勉強していて、「これはいい!」と心から思える教材に巡り合えることってそんなに多くないですよね。
けれど、『英文法のエッセンス』(著者:江藤 裕之)は、そう感じさせてくれた素晴らしい本です。
読み終わると、目からうろこが落ちたような気分になれました。
英文法のごたごたしたいろいろなルールが、ズバッと論理的にまとめられている参考書です。
感想をひとことに集約すると、
特に印象に残った部分を3つ紹介し『英文法のエッセンス』のレビューをまとめました。
この本に満足できそうな人
・中学や高校で習うレベルの英文法はほぼ頭に入っている
・英文法の本質を概念的かつ体系的に理解しておきたい
・英文法の詰め込み学習に疲れて嫌気がさしている
この本の注意点
- 英文法の本質や概念を説明している本なので、基本的な英文法のルールがある程度分かってないと吞み込めない部分がある
- 受験参考書のように英文法の細かいルールのひとつひとつを列挙して説明している本ではない
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『英文法のエッセンス』(著者:江藤 裕之)の概要
『英文法のエッセンス』
- 初版:2015年10月10日
- 著者:江藤 裕之
- 発行者:鈴木 一行
- 発行所:株式会社 大修館書店
- ページ数226ページ
- 文庫本のサイズ:19cm × 13cm × 1.5cm
『英文法のエッセンス』の一部を紹介
「英文法のエッセンス」では、いろいろな文法ルールの本質を詳しく説明しています。
- 文法の基礎知識
- 英語の文の基本的な構造
- 主語、動詞、目的語、補語などの役割
- 形容詞、副詞、前置詞などの品詞の使い方
- 時制の使い方
- 現在形、過去形、未来形の使い分け
- 現在完了形、過去完了形の使い方
- 動詞の種類と用法
- 一般動詞、助動詞、受動態などの使い方
- 直接話法と間接話法の使い方
- 名詞の使い方
- 単数形と複数形の使い分け
- 可算名詞と不可算名詞の使い方
- 数量の表現の仕方
- その他の文法ポイント
- 比較級と最上級の使い方
- 疑問詞の使い方
- 前置詞と目的語の使い方
助動詞
"確率や可能性の違いでwill, may, canなどは使い分ける”
この本を読む前までは、それが助動詞の本質だと思い込んでいました。
きっとそれは間違ってはいないのですが、助動詞の一面に過ぎないことがこの本を読むと分かります。
『英文法のエッセンス』では、助動詞は、"事実ではなく話者の考えを表す主観的なもの”として解説され、すべての助動詞が未来的なニュアンスをもつものとされています。
「未来形はwill」
そう学校で習ったことが、助動詞willのほんの一部の側面でしかない、いやひょっとしたらミスリーディングな説明ではないかとさえ感じてしまうほど。
この本は時制からスタートし、英語という言語が時間の概念をどう区別して現在形、過去形、完了形、進行形を扱っているのかをロジカルかつ体系的に教えてくれます。
吸い込まれるように読み進んだあとに、この助動詞の解説が加わります。
英語の真髄が分かったような気分になれて、十分に満足感がありました。
冠詞
Ⅳ章は「名前と修飾の表現」という章題です。
この章では、名詞の種類や可算・不可算名詞・冠詞を扱い、以下の英文を例に冠詞の本質が解説されています。
The dog is clever.
A dog is cleaver.
Dogs are cleaver.
『英文法のエッセンス』では、冠詞のaとtheの文法的意味を”示す範囲"で捉えています。
- 不特定の1つには"a"
- 既に出てきたものには"the"
- 総称を表すには複数形にするか"the"
これまで冠詞のルールは分かっているつもりでした。
けれど、この本を読むと「一見限定してないように感じる総称になぜtheが使えるのか」という疑問が消えました。
theの"示す範囲"が理解できます。
その答えは”他に選択肢はなく何を指しているのか明確”という主旨の解説です。
10分程度で読める17ページの説明にルールの背後にある根本や概念まで解説がありスッキリしました。
前置詞
前置詞についても、この本を読んでおく価値があります。
辞書や参考書では、前置詞のいろいろな意味がリストアップされています。
多すぎて覚えるのが大変で、頭になかなか残りませんよね。
主要なat, in, on, of, toなどは、20~50ぐらいの使い方や用法が辞書に記載されています。
『英文法のエッセンス』では、27ページでそれぞれの前置詞が持つ根本のイメージとそこから広がる意味の範囲を解説しています。
読み進めると、1つの前置詞のいろいろな意味が横串でぐさっと刺されてつながったような感覚になれました。
そして、それぞれの前置詞がもつ根本のイメージを軸にして、新たな意味をその軸につなげて捉えることで理解が深まりそうです。
前置詞の語感が養われました。
まとめ
この記事のタイトルに「英語のあの謎が分かる本」とつけました。
自分にとってはそれが助動詞であり、冠詞であり、前置詞でした。
他の各章の解説も、分かりやすく、面白く、そしてスッキリと英文法の本質を理解させてもらえますよ。
『英文法のエッセンス』を読む前までは、英語の語感やセンスを身につけるには日本語の書籍では難しいと考えていました。
英英辞典を長期に渡って使ったり、”English Grammar in Use”のような分かりやすい英語で英文法や語法を説明している書籍に触れ続けないとダメなのではないかと。
しかし、この本を読むとそれが勘違いであったことに気づかされます。
むしろ、母国語ではない他言語を学ぶにしても、体系的な解説や概念は日本語で読む方がよく分かる。
「英文法のルールはだいたい分かっているよ」
そんな人にこそ、この本は英語学習の強化におススメしたいです。
参考『英文法のエッセンス』の目次
動詞の形が示す時間
- 動詞の形が示すもの
- 動詞の基本時制(現在、過去、未来)
- 完了形(現在完了形、過去完了形)
- 進行形(現在進行形、過去進行形、未来進行形、現在完了進行形、過去完了進行形、未来完了進行形、注意すべき進行形)
心の想いを描く表現
- 助動詞(助動詞の文法的意味、can・may・must・shallの辞書的意味、助動詞の過去形:would・should・could・might、助動詞+完了形)
- 仮定法(仮定法の意味と形、事実に反する仮想の表現、動詞の原形による仮想表現)
文中でさまざまな働きをする動詞の変化形
- 語のまとまり
- 不定詞(不定詞の形と基本的な働き、to不定詞の文法的意味)
- 動名詞(動名詞の形と基本的な働き、動名詞の文法的意味)
- 分詞(分詞の形と基本的な働き、分詞の文法的意味、分詞構文)
- 不定詞、動名詞、分詞の共通項目(不定詞・動名詞・分詞の意味上の主語、不定詞・動名詞・分詞の意味上の否定表現、不定詞・動名詞・分詞の完了形)
名詞と修飾の表現
- 名詞と冠詞(名詞の種類、数えられる名詞と数えられない名詞、不定冠詞a・an、定冠詞the)
形容詞・副詞
- 形容詞
- 副詞
比較
- 原級による比較表現
- 比較級による比較表現
- no+比較級
- 最上級による比較表現
文中の「語のまとまり」を示す語
- 前置詞(前置詞の働きと種類、at・in・on、from・to・for、of・by・with、その他の前置詞、動詞の目的語と前置詞の目的語)
- 接続詞と関係詞(接続詞の種類と働き、関係詞の種類と働き)
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