【虎の巻】英語実務

英語での価格交渉に臨む前に価格の"決定要素"を知っておこう!

2020年9月12日

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こんにちは。

仕事で製品やサービスの取引をするときはいつも売り手と買い手の立場が異なりますね。

英語で海外企業との価格交渉をするときも同じです。

売り手の立場
できるだけ価格は下げたくない
買い手の立場
価格を少しでも下げて買いたい

その中で妥協点を見つけるのが価格交渉です。

この記事はこんな方向けです

  • 仕事で英語による価格折衝の機会がある
  • 海外取引の価格の決定要素を知りたい

英語で相手と価格交渉を行う際は、価格を決定する要素をあらかじめ理解しておく事がとても重要です。

その価格を決定する主な要素は以下の9つです。

この中にはグローバルに特化した項目も含まれます。

自身のグローバル実務の経験をふまえてまとめました。

  1. 購入数量のコミット・フォーキャスト (Volume)
  2. 配送コスト納期 (Delivery)
  3. 製品・サービスの発売時期・市場シェア (Product Life Cycle)
  4. 決算期 (Fiscal Year)
  5. 支払期限 (Payment)
  6. 保守条件 (Support)
  7. 支払通貨・為替レート (Forex Rate)
  8. 返品率・故障率 (Product Quality)
  9. ハードがソフトか (Hardware/Software)

【この記事を書いた人】

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About me

  • 英語学習:日常的に実施(仕事で利用のため)
  • 仕事:自社サービスの運営に関する取引先との交渉業務やパートナー会社との協業プロジェクトのマネジメントに従事。主に欧米・アジアを対象として海外企業との英語による交渉・打ち合わせ・電子メール対応などの実務を14年間経験。

海外企業との価格交渉を決定する要素

購入数量のコミット・フォーキャスト(Volume)

取引商品やサービスのコミット・フォーキャストボリュームは価格決定に大きく影響します。

コミット:取引するボリュームを確定させること

フォーキャスト:取引するボリュームを確定せず、予測情報として参考にすること

売り手の立場

買い手のコミットボリュームが多ければ価格交渉に応じやすいです。

コミットボリュームが無い場合、フォーキャストボリュームを参考に価格を決定します。

買い手企業とのこれまでの取引実績や相手の会社規模、年間売上を参考にします。

買い手の立場

価格低減を重視するのであればコミットボリュームの提示を検討する必要があります。

全量コミットがむずかしい場合、一部だけでもコミットできないかを検討しましょう。

配送コスト・納期 (Delivery)

有形製品の価格交渉の場合、配送コスト・納期も価格に影響します。

売り手の立場

配送コストをアウトソース(外部委託)している場合、価格低減はむずかしくなります。

また、買い手から要求される納期が短い場合、商品在庫の引きあて優先など追加コストがかかることもあります。

買い手の立場

売り手が自社で配送を行っているのか、アウトソース会社に委託しているのかを交渉の中で確認してみましょう。

そして、価格低減を優先したい場合、売り手の都合の良い納期を確認してみるのも一手です。

製品・サービスの発売時期・市場シェア (Product Life Cycle)

価格交渉する製品やサービスの"発売後の経過期間"を把握することが交渉に役立つことがあります。

製品には「導入期」、「成長期」、「成熟期」、「衰退期」があります。

売り手の立場

ライフサイクル別の価格の特性

導入期:発売直後のため、売り手の販売戦略により価格が変わる。市場で一定のシェアを獲得することをめざしていれば値下げに応じやすい。既に市場シェアが高い製品の後継機種の場合、価格の値崩れを避けるため導入期に値下げに応じないケースもある

成長期:製品の販売に積極的な時期。買い手の交渉力次第で値下げも有り

成熟期製品の価格が安定しやすい時期。顧客への販売数量の大小や決算期のタイミングなどが提示価格に影響しやすい

衰退期:製品の在庫処分のインセンティブが働き、値下げ交渉に応じやすい

また、製品の市場シェアも価格決定に影響します。

市場シェアトップの製品の場合、値崩れをもたらすレベルの値下げには応じないこともよくあります。

買い手の立場

製品のライフサイクルや市場シェアなどを見極め、売り手の商品販売戦略に目を向けましょう。

価格の値下げが最優先なら1モデル前の衰退期の製品にあえて変更するなどの検討も有りです。

決算期 (Fiscal Year)

売り手と買い手双方にとってその会社の決算期は価格交渉が進みやすい時期です。

売り手の事情

会社も社員も年度を区切りとして成果や業績が評価されます。

このため、年度末は原価ギリギリでもとにかく販売額を増やすインセンティブが働く事が多いです。

特に外資系の会社は給与と業績の連動性が高く、年度末期は営業担当者が全力で受注を目指してきます。

年度末が近づくと「年度内に契約していただければ更に○○%値下げします」と売り手の勢いが増します。

最初の提示価格はなんだったのかと買い手が思ってしまうようなこともあるぐらいです。(笑)

外資系企業は業績が悪いと担当者がクビになることや日本拠点の存続に影響するようなケースも珍しくないです。

日本企業に比べると営業担当者の「短期勝負」の感覚が強いですね。

買い手の事情

年度内の予算消化を確実にしなければならない事情ある場合があります。

この場合、買い手は価格交渉よりも年度内契約や納品を優先します。

次年度の事業計画予算が今年度の使用実績に基づき決定される慣習が大きく影響していると思います。

支払条件( Payment)

売り手の立場

支払期限が短かくなればなるほど価格交渉に応じやすいです。

キャッシュフローの観点でもメリットがあり、短い支払期限のほうが貸倒リスクを抑えられるからです。

ただし買い手企業の与信情報も影響します。

買い手の立場

売り手に短い支払期限を提示することで価格低減が期待できる場合があります。

外資系企業はキャッシュフローを強く意識します。

支払期限にこだわりがさほどなければ、短い支払期限で価格低減ができるか売り手に確認してみましょう。

保守条件 (Support)

売り手の立場

保守が伴う製品の場合、保守価格を加わると販売総額が増えるため価格低減が可能になる場合があります。

保守サービスコスト全体が黒字化の状態であれば、保守費は利益分も大きく価格交渉のバッファとして使えます。

買い手の立場

保守契約をセットで検討することで購入額を増やすことができるため売り手に値下げ要求をしやすくなります。

支払通貨・為替レート (Forex Rate)

海外企業との契約の場合、契約通貨を円にするかドルまたはユーロにするかにより価格が変動します。

売り手:ドルを決算通貨とする企業

買い手:円を決算通貨とする企業

を例に考えてみます。

売り手の立場

円高と円安で売り上げに差が出ます。

円高のときは契約価格をにしたほうがドル換算売り上げが増えます。

円安のときは、契約価格をドルにしたほうが為替変動のリスクを抑えられます。

1$=100円のとき(円高ドル安

製品価格5万円=500ドルの売上

1$=120円(円安ドル高)

製品価格5万円=416ドルの売上

買い手の立場

円高と円安で購入価格に差が出ます。

円高の時は契約価格をドルにしたほうが円換算支払額を減らせます。

円安のときは、契約価格をにしたほうが為替変動のリスクを抑えられます。

100円=1$のとき(円高ドル安

製品価格500$=5万円の支払い

100円=0.83$のとき(円安ドル高)

製品価格500$=6万円の支払い

 

返品率・故障率 (Product Quality)

売り手の立場

過去の取引における製品の返品率や故障率が高い場合、顧客の満足度が低い可能性があります。

その場合、新たな契約の価格低減でリカバリーが必要かもしれません。

買い手の立場

過去の取引実績における返品率や故障率を確認しましょう。

また新たに購入する製品の返品率や故障率も事前に確認しましょう。

継続契約を検討する際の価格交渉の材料にもなります。

ハードウェアかソフトウェアか(Hardware/Software)

購入対象製品がハードウェアかソフトウェアかによって原価を構成する要素が違います。

ハードウェア

売り手側に製品開発、工場投資、部品、在庫、配送、仕入れなどコストが各要素で着実にかかります。原価以上の値引きが難しくなる特徴があります。

ソフトウェア

部品、在庫、配送などの概念が当てはまらない場合が多いです。

たとえば、クラウドサービスの場合、売り手側のコストは製品開発費と環境構築費が中心です。

物理的な物を配送するわけではないので配送や在庫にコストがかかりません。

ソフトウェアは販売開始後にキャッシュアウトする固定費が少ないためか、大幅な値引きが期待できることもよくあります。

まとめ(価格の決定要素の理解は必須)

英語ができるだけでは、良い価格交渉はできません。

この記事でまとめたような価格の決定要素をあらかじめ理解して交渉プランを練りましょう。

      1. 購入数量のコミット・フォーキャスト (Volume)
      2. 配送コスト納期 (Delivery)
      3. 製品・サービスの発売時期・市場シェア (Product Life Cycle)
      4. 決算期 (Fiscal Year)
      5. 支払期限 (Payment)
      6. 保守条件 (Support)
      7. 支払通貨・為替レート (Forex Rate)
      8. 返品率・故障率 (Product Quality)
      9. ハードがソフトか (Hardware/Software)

価格交渉によく使う英語表現についてはこちらの記事でまとめています。

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英語での価格交渉に臨む際の英語表現まとめ!

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また、価格交渉に関するまとめ記事はこちらに作成しています。

記事タイトル入りスライド(価格交渉の様子)
英語で価格交渉を成功させるノウハウ【15年の実務経験まとめ】

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