タイトルの本は1~2時間で一気に集中して面白く読めましたよ。
大人になってから英語を本格的に勉強するのに役立つ良本ですね。
この本には全部で3章あります。
それぞれで紹介されている”留学しなくても実現できる英語勉強法”の要旨をまとめてみました。
1章:考え方編
2章:勉強編
3章:実践編
「英語が話せるようになる」の定義
著者は、まず最初に『日常会話で英語が話せるようになる』を目からウロコが落ちるレベルの柔らかい定義をしています。
本来、英語を使えるようになりたい場面や英語を勉強する目的はひとりひとり異なるものですよね。
このことを、”英語を使う日常生活は人それぞれ違う”と著者は言っています。
日常生活とは
- 日頃、自分の身に起きていること
- 日頃、自分が考えていること
そして、”英語が話せる”とは、
自分にとっての日常生活ですぐに口から出せる英語フレーズを増やすこと
と続けます。
あらゆる場面で英語が話せる必要はなく、その人にとって必要なシーンで英語が話せればよいということですね。
1章:考え方編:英語環境に包まれる重要性
著者は20代前半はバンドに明け暮れていたそうです。
そして、憧れだったアメリカの音楽バンドのボーカルとカナダで感動の対面をした際、
「実は高校のときからずっとあなたの音楽を聴いていたのです」
と心から言いたかった英語が口から出ない苦い経験をします。
"I listened to your music"と過去形ならまだ言えたけど、それでは「ずっと聞いていた」と一番言いたかった意味が欠けてしまうことは分かっていたそうですが。
また、別のシーンでは、家まで車で送ってくれた初対面の人に、
「心から感謝しています」
の英語が出てこなくて、同様に悔しい思いをします。
そんな経験を経て、先に書いた『自分の日常生活で英語が話せる』の定義にたどり着いたようです。
オンライン英会話の活用
バンドマンの著者は、カナダ滞在1年後に現地でライブをすることが決まります。
「お金を払って自分のライブを見にきてくれるお客さんに、自分の英語でライブ中のMCあいさつをしたい」
そう強く思った著者は、その準備としてまず日本語で伝えたい内容を書き下ろします。
そして、それをネットを使って機械翻訳。
しかし、その英語では不安があるため、オンライン英会話でフィリピン人講師から日々添削とスピーキング指導を受けます。
相手に理解されるような英語が話せるようになるまで3カ月間猛特訓したそうです。
日本で留学環境をつくる
カナダに滞在して英語を勉強した経験を通じて、英語に包まれる留学と同じような環境は、日本にいてもつくれると著者は力説しています。
以下のようなツールやサービスを使ってです。
英語留学と類似環境をつくる
- オンライン英会話
- 英語でひとりごと
- 英語ニュース(スマホアプリ)
- 英語Twitter
- 英語ラジオ
- 英語版漫画
- 英語表現ストック用の自分だけのLINEグループ
- Siri
- YouTube
この点、自分もそう思っています。
言い換えると、インターネットがどこでも高速に使える今の生活では、日本にいても海外にいても、英語に包まれる環境に大きな差はないですよね。
海外に留学したとしても、スマホで日本のニュースを見たりラインで日本の友達とやりとりを多くしていれば、海外で生活している意味が薄れてしまいます。
反対に、日本にいても毎日オンライン英会話で外国人と話したり英語コンテンツを中心に閲覧するようにすれば、海外にいるのと大して変わりません。
国境も場所も関係ないネットのおかげで、工夫次第で海外にいるのと変わらない環境をつくりやすくなりました。
2章:勉強法:効果抜群の英語日記のやり方
著者は、この本のタイトルにもなっている英語日記を推奨してます。
ただし、誰もが簡単にイメージするような単に知っている英語を使って日々起きたことの日記を書くのではありません。
カナダでバンドのライブをした際のMC英語あいさつを準備した3カ月間の英語猛特訓をモデルに、日記を通じて日々同じようなトレーニングをします。
このやり方は、ライティングのみならず、スピーキングやリスニングまで伸ばすことができる学習効果が高い方法であると紹介しつつ。
手順① 自然な日本語で日記を書く
すでに知っている英語でいきなり日記を書こうとしても幼稚な文章になってしまいますよね。
それを避けるため、相手に英語で伝えたいことを母国語の日本語でまず表現します。
そして、以下のような話し言葉の日記で構わないとしています。
例:今日は会ったばかりの僕にこんなに親切にしてくれて本当にありがとう。優しさ、しっかり伝わりました。本当に感謝しています。いつか恩返しがしたいからいつか日本に来てね。
手順② 10秒以内に終わる1文にする
手順①で書いた日本語をすべて英訳する必要はないそうです。
日記を要約するか一番言えるようになりたい一文をピックアップすればよいと。
理由は、量が多い英文は瞬時に英語で言えないから。
瞬時に口から出せる英語を増やしていくには、10秒以内でアウトプットできる短い英文をインプットしていくことが重要と著者は力説しているのです。
先の例で言うと、1文目だけをとってこんな感じでしょうか。
今日は会ったばかりの僕にこんなに親切にしてくれて本当にありがとう。
手順③:英文をつくる
手順②で用意した10秒以内の日本語を英文にします。
ここで、新井リオさんは和英辞書を使って直訳しないことを推奨しています。
理由は、ぎこちない英語になってしまうからと。
代わりに、Twitter検索やネットで生の英語を探したほうがよいと言っています。
意味が近いと感じる話し言葉の英文をSNSなどから見つけて、ピンポイントで単語を部分的に入れ替え、自分が言えるようになりたい英語を組み立てるようアドバイスしています。
手順④ オンライン英会話で添削を受ける
次に、自分で組み立てた英文をオンライン英会話の先生に添削してもらいます。
「こういう言い方のほうが自然だよ」
「こういう英語表現もあるよ」
そんなアドバイスをもらいながら、より実践で使える英語に仕上げます。
これを日々繰り返すことで、日常会話で瞬時にアウトプットできる”使える英語”を増やしていったそうです。
そして、英語日記の添削のみならず日々積み上げた短い英文を使った実践練習にもオンライン英会話をフル活用します。
3章:実践編:夢が重要
英語をどう使うのか
著者は第3章で、
英語はなにかと掛け算して使うことで初めてその魅力が生きる
としています。
「単に英語の勉強するだけで終わってほしくない」
「自分が英語を勉強する目的はなにか」
「英語ができるようになって何をやりたいのか」
しっかりと動機を持つことが英語の勉強の原動力となり、英語ができることに真の価値が生まれると言っているように感じました。
そして、今は、”日本国内かグローバル”というより”インターネットの時代”に変わり、昔ほどの国籍や国境の障壁はありません。
ネット上で仕事を探したりコラボする相手を見つけたりすることで、誰でもやりたいことを探せる世界になっていることを著者は強調しています。
つまり、英語ができるようになれば、1億2千万の日本人だけではなく80億の世界の人と何かができる。
その環境を最大活用するためにやりたいことを見つけて英語を勉強しようと著者は言っています。
あとがき
新井リオさんは行動力がある人だと思いました。
けれど、決して評価を下げる意図ではないのですが、手が届かないような異次元の人ではなくどこにでもいそうな20代の青年の雰囲気が感じられます。
「バンドやデザインなど自分が好きなことを世界の舞台でやってみたい」
そういう強い思いの中で行動したからこそ、発見できた英語の勉強法がこの本で紹介されているように感じました。
「英語を勉強してどうなりたいのか」
「何のために英語をマスターしたいのか」
将来世界で活躍する目標を見つけることができたら、誰でもこの本に書いてある勉強法をスポンジのように吸収して、英語の勉強に生かせることを感じさせてくれた本ですね。
追伸
この本を読んで、市販の英語参考書や教材の使い方について感じることがありました。
本来、ほとんどの市販教材は不特定多数の幅広い英語学習者に活用してもらうために出版されたものですよね。
誰か特定の人(ペルソナ)を設定して書かれたものではありません。
なので、英語表現や例文は、さまざまなシーンが扱われています。
それはそれで仕方のないことだと思いました。
このため、”日常生活”で英語が使えるようになるためには自分で工夫する必要がありますよね。
参考書の英文を自分の日常生活にカスタマイズしてインプットしたりアウトプット練習をしたりするのです。
以下の①と②の両方が大事。
この本が教えてくれたこと
- 参考書や教科書から与えられた英語表現のインプットやアウトプット練習する
- 自分にとっての日常生活のシーンに英語を置き換えて、そのシーンをイメージしながら真に使える英語フレーズを練習する
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