20年以上前に大学に入った後、しばらく経ってアイルランド人の先生と英会話する機会があって、さっぱりネイティブ英語が聞き取れずこう思ったのを鮮明に覚えています。
リスニングを強化し始めてすぐに壁にぶち当たりました。
ふりかえるに、ディクテーション(英語の書き取り)がこの壁を打ち破る特効薬だったと思います。
地道な作業ですが、継続すると英語が聴きとれるようになりますよ。
TOEICのリスニングセクションは満点がとれるようになったのもディクテーションとシャドーイングが効いています。
この記事では、自分自身が取り組んだディクテーションのやり方をまとめました。
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英語ディクテーション(書き取り)のやり方
準備するもの
ディクテーションに使うリスニング教材
おススメコンテンツ
- 短めのコンテンツ
- スクリプト付きのもの
- 繰り返し再生や10秒単位の戻し再生に対応しているもの
ディクテーションは、慣れるまでは面倒です。
けれど、習慣化してしまえば大丈夫。
最初のうちは短めの文からスタートしたほうが継続しやすいですよね。
そして、できるだけ興味を持てる内容を選ぶのが大事です。
TOEIC対策教材を使えば、TOEICスコアアップにも直結しますよね。
また、書きとった後に英文スクリプトを確認する必要あるので、スクリプトがあるコンテンツを必ず選びましょう。
また、何度も再生するので、繰り返し再生がしやすいコンテンツにします。
ディクテーションおススメ無料コンテンツ
1文ずつ600文用意されています。Nativeが2回話した後、スクリプトが表示されます。1回目は男性で速め、2回目は女性で少し遅めです。
1文ずつ毎日10問からこのコンテンツで書き取り練習をスタートさせるとすごくいいです。
何よりも1文なので飽きにくいです。
僕も実際にこのコンテンツをすべて書き取りました。
1日10文、辞書で英単語や関連表現を調べたりする時間もあわせて約30分ぐらいです。
30秒ほどの音声が34シーンあります。アメリカ人Nativeの英語です。34シーンは以下の流れです。
- Dialogueを聞く
- Questionに答える
- スクリプトを確認する
「2. Questionに答える」までをやって、スクリプトを見る前にディクテーションをするのが良いと思います。
ノート・ペン(またはタイピングができるPC)
ディクテーションは、ノートに手書きでもPCでタイピングでもどちらでもいいと思います。
手書きで書きとる場合、ペンは2色(黒と赤など)を用意します。
聴き取れなかった単語を別の色で記載して、復習の際に分かりやすく振り返るためです。
英英辞典
ディクテーションの中で、意味の分からない単語や用法が出てきたら辞書で調べます。
ネットでググって意味を確認することもありますが、やはり不十分。
辞書に比べると簡略化された説明しかない場合が多いですよね。
複数の意味を持つ単語の場合、よく使われる順に用法や例文が充実している辞書が安心です。
そして、英英辞典を使えば、英単語の意味を基礎的な英語の説明で理解できるので語感も養えます。
自分がいつも使うのは、LongmanかOxfordの英英辞典。
そして、調べた英単語は辞書にしるしをつけるようにしています。
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辞書にチェックする色の区別
- ディクテーションできなかった単語
- ディクテーションはできたけど、意味や用法を確認した単語
スマホでアプリ型の辞書を使うこともあります。色はつけられないですが、調べた単語が履歴に残る機能で時々見直すようにしています。
ディクテーション(書き取り)の手順
次に自分が行うディクテーションの手順について説明します。
step
1(スクリプトを見ずに)英文を一度再生し集中して聴く
文の意味を考えながら、一部の単語だけも聴き取れるよう集中して英語を聴きます。
一度に聞く長さは、最大でも1文単位です。「止める⇒書く」を繰り返します。
一文が長いなら意味の単位や節で切る。
「ゼンゼン聞き取れないな」と感じたら、再生スピードを遅くする。
聴き取れないものを速いスピードで繰り返し再生しても嫌気がさすだけです。
step
2聴きとった英語をノートに書き取る
聴き取った英語をノートに書き落とします。
部分的に聴き取れた英単語の羅列になることもあります。
よく聴き取れなかった場合でも意味がなんとなく分かった場合は、それに近い英語を自分で作文します。
勘で構わないのでその意味に近い英語をできる限り書いてみるようにします。
聴きとれた内容が、「スペルが分からないけど、こんな感じの音の単語を話したな」というときは、カタカナでノートにメモします。
例えば、Dictationという英単語の音は聴きとれたけど、意味やスペルが分からないときは、「ディクテーション」とノートに書いておきます。
step
3(スクリプトを見ずに)もう1度同じ英文を再生し、書き取れなかった部分に集中して聴き書き取る
STEP1と同様に集中して聴きます。
この時もまだスクリプトは見ません。
2~3回聴き取りを繰り返します。
それでも分からない場合、それ以上の聴き取りはできないと判断します。
step
4スクリプトを確認し、聴き取れなかった英語の部分を赤色のペンでノートに書き写す
聴き取れなかった英単語は別の色のペンで書きます。
こうすることであとでノートを読み返して今の実力と比較できます。
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5聴き取れなかった英単語を辞書や参考書で調べる
聴き取れなかった英単語・英熟語・文法について辞書や参考書で確認します。
発音記号と意味の両方をチェックします。
step
6最後にスクリプトを見ずに英文を聴き直す
1回目で聞き取れなかった英単語を特に意識しながら2-3回英文を聴き直します。
そして、スクリプトを見なくてもすべての英語が聴き取れるようになれたことを確認します。
このSTEP1からSTEP6を勉強時間の中でドンドン進めます。
この手順でディクテーションを継続していくことで、少しずつ聴き取れる英語が増えていくのが実感できるようになります。
PCとYouTubeを使ったディクテーションのやり方
step
1画面左半分にChromeでYouTube、右半分にGoogleドキュメントまたはMS-Wordなどのアプリを表示する
リスニングコンテンツ例
便利なショートカットキー
- 『Windows』+『←』:画面左半分に表示
- 『Windows』+『→』:画面右半分に表示
step
2画面左のYouTubeを再生しながら右のアプリにタイピングして書きとる
便利なショートカットキー
- 『K』:再生/一時停止
- 『J』:10秒戻す
- 『L』:10秒進める
- 『←』:5秒戻す
- 『→』:5秒進める
無料のGoogle Chromeを使ってYouTubeを開けば、上記のショートカットキーを使って細かく再生/一時停止、10秒戻しを行いながらディクテーションを行えます。
私は以下のような決め事で書きとる練習をしています。
ディクテーション
- 意味は知ってるけど聞き取れなかった部分:赤色文字
- 意味も知らなく聴き取れなかった部分:太文字
- 間違って書きとった部分:二重線
リスニングに重要なリエゾン(音の変化)
英語のリスニングには、リンキング、リダクション、フラッピングと呼ばれるリエゾン(音の変化)や弱形を学習しておくとリスニングの向上に役立ちます。
これらを実際にNativeの発音で学べるYouTubeコンテンツは以下が良いと思います。
関連YouTube
ディクテーションによる英語力アップのイメージ
日本の英語教育はまだまだ読み書き中心のため、読んで意味が分かるだけの語彙が中心です。
図の青い部分がそれに該当します。
聴き取ることができる”語彙”は赤字で表している"Listening"の部分です。
最初は聴きとれる語彙は、Readingに比べて限られていますよね。
ディクテーションを通じて、この"Listening"の円を広げていくイメージです。
Listeningの語彙が増えると"Speaking"に使える語彙力も増えていきます。
リスニング力が育たないワケ
3つの理由を説明します。
ネイティブ英語が聞き取れない理由の詳細は別記事にも詳しくまとめています。
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日本語と英語の音素が異なる
音素は音の最小単位です。
英語の辞書を見ると発音記号がいろいろ出てきますよね。
母音の「あ」は日本語はひとつなのに。
英語には、「あ」に聞こえる音にも、/æ/, /ʌ/, /ɑ/, /ə/などの別々の音素があります。
例えば、以下のような違いです。
- apple: /æ/
- study: /ʌ/
- hot: /ɑ/
- support: /ə/
英語には音素が、母音20、子音24の44個あると言われています。
一方日本語は、母音5、子音16、特殊音3の24個です。
英語の音素一覧(20母音+24子音=44音素):
/iː/, /ɪ/, /e/, /æ/, /ʌ/, /ɑː/, /ɒ/, /ɔː/, /ʊ/, /uː/, /ɜː/, /ə/, /eɪ/, /aɪ/, /ɔɪ/, /əʊ/, /aʊ, ɑʊ/, /ɪə/, /eə/, /ʊə/; /p/, /b/, /t/, /d/, /k/, /g/, /ʧ/, /ʤ/, /f/, /v/, /θ/, /ð/, /s/, /z/, /ʃ/, /ʒ/, /h/, /m/, /n/, /ŋ/, /l/, /r/, /w/, /j/
日本語の音素一覧(5母音+16子音+3特殊音素=24音素):
/a/, /i/, /u/, /e/, /o/; /j/, /w/; /k/, /s/, /c/, /t/, /n/, /h/, /m/, /r/, /g/, /ŋ/, /z/, /d/, /b/, /p/; /N/, /T/, /R/(慶応大学ユーザーブログより引用)
日本語と英語の語調が異なる(英語は強弱、日本語は高低)
ネイティブ英語を聴いていると、
って正直、疲れるときがありますよね。
欧米でコロナの感染が広がりやすい理由も分かるような気がします。
「英語を話すときは抑揚をつけなさい」と大学時代に英語の先生から言われたこともあります。
「高低ではなく強弱だ」と。
「大げさなかな」と思うぐらいそれをしないと、ネイティブ相手には英語が通じないことも珍しくありません。
これはカラオケと同じではないかと思っています。
歌が上手い・下手は、プロの歌手と同じように声が強く出せるかどうかのところがありますよね。
音程はずれていないとしても、しっかりと声が出た強弱感がないと歌も上手くは聞こえない。
ネイティブの英語発音は、強弱の差がしっかりしています。
ネイティブ英語をインバウンドで聞く機会が少なすぎる
日本で生活していると、ネイティブの英語を聴く機会が少ないですよね。
最近はネットでYouTubeや動画コンテンツの有料サービスもたくさんあります。
けれど、自ら聴かないといけないので、"英語が常に流れている"のとは違いますよね。
NHKのニュースなど一部は副音声で英語が聞けますが部分的。
海外に行けば、たいてい英語の放送がずっと流れているチャネルがありますよね。
ネイティブ国ではなくても。
ネイティブ英語に触れる絶対量が海外と日本では違うし、日本人は少なすぎだと思います。
まとめ(1日15分からディクテーションを始める)
ディクテーションを行い、聴き取れる英単語を増やしましょう。
「聴き取りも理解もできなかった英単語」を「聴き取りも理解もできる英単語」に1語でも多く変えていきます。
最初は15分ぐらいから。
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